三島の魅力は長編だけじゃあない。「春の雪」の次はこれだ!13編の愛の結晶。夢想好きの早熟な少年がひとり分け入った岬の廃屋で出会った若い男と女――陽光が降り注ぎ、草花の生い茂る夏の岬を舞台に、恋人たちが自ら選んだ恩寵としての死を描く初期の名作『岬にての物語』。他に、生れるとすぐ母親から離され祖母の許で育てられた幼年時代の一齣を描く『椅子』、恋愛と信仰の相剋を取り扱った『志賀寺上人の恋』など、三島文学の精粋全13編を収録。『作者介紹』三島 由紀夫(ミシマ ユキオ) 1925‐1970。東京生れ。本名、平岡公威。’47(昭和22)年東大法学部を卒業後、大蔵省に勤務するも9ヶ月で退職、執筆生活に入る。’49年、最初の書き下ろし長編『仮面の告白』を刊行、作家としての地位を確立。主な著書に、’54年『潮騒』(新潮社文学賞)、’56年『金閣寺』(読売文学賞)、’65年『サド侯爵夫人』(芸術祭賞)等。’70年11月25日、『豊饒の海』第四巻「天人五衰」の最終回原稿を書き上げた後、自衛隊市ヶ谷駐屯地で自決(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)